No.87 (オーストリアとプロイセン)  : 

「ウェストファリア条約で『ドイツ』はどうなったか?」

1618〜48年に戦われた、宗教戦争の総決算であり政治的な国際戦争の始まり
ともいえるドイツ三十年戦争の講和条約がウェストファリア条約。それによってド
イツは、国内の領邦国家に完全な主権を認め、「ドイツ」を意味した神聖ローマ
帝国は有名無実化した。ヨーロッパの国境は現在のものにさらに近づき、スイス
とオランダの独立が国際承認され、アルザス・ロレーヌ地方がフランス領になった。

<評価の観点>
関心・意欲・態度:
現在はEU(ヨーロッパ連合)の役所が集中していて、ヨーロッパ統合の象徴とな
っているアルザス・ロレーヌ地方が、第二次世界大戦まではドイツとフランスの係
争地として、宿命的な土地であったことを知り、大きな関心を持って学習に取り組
んでいる。

思考・判断:
ユグノー戦争・オランダ独立戦争と合わせた、「三大宗教戦争」の総決算としての
三十年戦争が、カトリック国家フランスの新教側への参戦によって、単なる宗教戦
争の枠を越えた政治的な国際戦争になったことについて考察するとともに、ウェス
トファリア条約の意義についても的確に判断している。

資料活用の技能・表現:
三十年戦争前後の歴史地図を比較・分析することにより、「ドイツ」の変化に関して
理解を深めている。

知識・理解:
ウェストファリア条約がドイツ国内の領邦に主権を認めることによって、神聖ローマ
帝国が「有名無実化」したこととや、その後ドイツが陥った状況に関して基本的な
知識を身につけている。